最終更新日:2026年9月15日
先に結論:決めるのは3つだけ
- 請求書番号を、レコード番号とは別に持つ kintone のレコード番号をそのまま請求書番号にすると、あとで必ず困ります。
- 金額の計算は kintone 側で終わらせる 帳票側で計算しようとしない。PDFは「出すだけ」にします。
- 明細の「行の高さ」と「最大表示行数」を、台紙から逆算して決める ここが1枚に収まるかどうかの分かれ目です。
アプリの最小構成
請求書アプリを1つ作ります。明細はサブテーブルで持ちます。 最低限これだけあれば発行できます。
| フィールド | 種類 | 役割 |
|---|---|---|
| 請求書番号 | 文字列(1行) | 取引先に伝える番号。レコード番号とは別に持つ |
| 請求先 | 文字列 / ルックアップ | 顧客アプリから引くと表記ゆれが消える |
| 請求日 / 支払期限 | 日付 | 台紙に配置する |
| 明細(サブテーブル) | テーブル | 品名・数量・単価・金額の4列が基本 |
| 小計 / 消費税 / 合計 | 計算 | 明細から自動計算する |
最初から項目を増やしすぎないでください。 台紙に載せない項目は、帳票の観点では不要です。 あとから足すほうが、最初に作りすぎて整理するより簡単です。
請求書番号をレコード番号で代用してはいけない
kintone のレコード番号は、アプリ内の通し番号です。 手軽なのでそのまま請求書番号に使いたくなりますが、次の場面で行き詰まります。
- テスト用に作ったレコードを消しても、番号は飛んだまま戻らない
- 年度が変わっても1にリセットされない
- 部門や取引先ごとに採番規則を分けられない
- アプリを作り直すと番号が最初からになる
請求書番号は取引先と経理に残る番号です。 「2026-A-0012」のように、年度・区分・連番を組み合わせた形にしておくと、 あとから探すときにも、監査で聞かれたときにも困りません。
kintone の標準機能では単純な連番しか振れないため、この形にするには仕組みが要ります。 連番自動採番プラグイン は、保存時に「年度-部門-連番」のような複合採番を自動で作ります(無料)。
金額の計算は kintone 側で終わらせる
帳票に出す数字は、PDFを作る時点で確定していなければなりません。 帳票側で計算しようとすると、画面に見えている金額とPDFの金額が食い違ったときに、 どちらが正しいのか誰にも分からなくなります。
標準の計算フィールドで足りる範囲
明細の小計は、計算フィールドに SUM(明細.金額) と書けば出ます。
消費税10%なら ROUNDDOWN(小計 * 0.1, 0) のような式で済みます。
単一税率で、端数処理が切り捨てか四捨五入のどちらかに決まっているなら、標準だけで完結します。
標準では書きにくくなる範囲
- 軽減税率8%と10%が混在し、税率ごとに小計と税額を分けて出す
- 取引先ごとに端数処理の方法が違う(切り捨て/四捨五入の使い分け)
- 条件が入れ子になる値引き(数量が一定以上なら単価を変える、など)
このあたりは計算式が長くなり、標準の計算フィールドでは書ききれなくなります。 計算拡張プラグイン は、IFの入れ子や日付計算を含む複雑な数式を定義できます(無料)。
インボイス制度では、税率ごとに区分した消費税額等の記載が求められます。 自社の請求書がその要件を満たしているかは、顧問の税理士にご確認ください。 当方は税務の判断はいたしかねます。
本題:明細を1枚に収める
ここが請求書の帳票で一番つまずくところです。 帳票出力プラグイン では、台紙PDFにサブテーブルを配置するとき、ボックス設定で次の2つを指定します。
- 行の高さ(pt):明細1行分の縦幅
- 最大表示行数:何行まで出すか
台紙から逆算する
先に台紙PDFを作り、明細を入れる枠の高さを決めてから、そこに合う数字を出します。 考え方は単純な掛け算です。
行の高さ(pt) × 最大表示行数 ≦ 明細枠の高さ(pt)
A4の紙全体は約842ptです。上下の余白、宛名や合計欄を除くと、 明細に使えるのはだいたい200〜300pt程度になります。 明細枠を240ptにしたなら、行の高さ16pt × 15行 = 240pt。 ここから「1枚に15行まで載る」と決まります。
先に行数を決めて台紙を作ると、あとで枠に入りきらず作り直すことになります。 台紙 → 枠の高さ → 行の高さと行数の順で決めてください。
文字サイズとの関係
行の高さを詰めれば行数は稼げますが、文字が窮屈になります。 目安として、文字サイズ9ptなら行の高さは12〜14pt、 10ptなら14〜16pt程度を確保すると読める体裁になります。 行の高さを文字サイズと同じにすると、行同士がくっついて読めません。
最大表示行数を超えた明細がどう扱われるかは、必ず実データで1件出力して確認してください。明細が20行ある案件のレコードを1つ用意して試すのが確実です。 設定画面の見た目だけで判断すると、本番で気づくことになります。
明細が枠に収まらないときの4つの対処
① 明細をまとめる
同じ品目が複数行に分かれているなら、集約して行数を減らします。 別アプリで管理している作業実績を合計して持ってくる場合は、 関連レコード集計が使えます。
② 明細用の台紙を別に作る
1枚目に宛名と合計、2枚目以降を明細だけの台紙にします。 テンプレートは3種類まで登録できるので、 通常版と明細多め版を使い分ける手もあります。
③ 行の高さを詰める
最後の手段です。読みやすさと引き換えになるので、 1〜2行足りないときに限ります。 取引先に出すものなので、詰めすぎは避けてください。
④ 明細を別紙にする
請求書には合計だけを載せ、明細は内訳書として別に出します。 建設や工事の内訳書のように行数が読めない帳票では、 最初からこの設計にするほうが安定します。
台紙PDFは別アプリで管理する
台紙のPDFは、プラグインに直接持たせるのではなく、 添付ファイルとして別アプリに置いて参照させることができます。 こうしておくと、用紙を差し替えたいときにプラグインの設定を触らずに済みます。
ただし台紙を差し替えると、配置したボックスの位置がずれることがあります。 差し替えたあとは必ず1件出力して、位置を確認してください。 ロゴの位置が数ミリ動いただけでも、金額欄が罫線にかかることがあります。
つまずきやすいところ
- フォント:台紙側の書体ではなく、プラグイン側の設定が使われます。 特殊な書体が必要な部分は、台紙のPDFに文字として書き込んでおく方法があります。
- 金額の表記:ボックス設定の前置テキストに「¥」、 後置テキストに「円」を入れられます。数値フィールド側に文字を混ぜないでください。 計算できなくなります。
- 位置合わせ:ドラッグでは合いません。 矢印キーで1px、Shift+矢印キーで10px動かして詰めます。
- 台紙のサイズ:PDFをすべてアップロードで運用する場合、 1テンプレートあたり3MBまでです。ロゴ画像の解像度を上げすぎると超えます。
まとめ
- 請求書番号はレコード番号と分ける。年度・区分・連番の組み合わせにする
- 金額は kintone 側で確定させ、PDFは出すだけにする
- 台紙 → 明細枠の高さ → 行の高さと最大表示行数、の順で決める
- 明細20行のレコードを1つ作って、必ず実出力で確認する
- 行数が読めない帳票は、最初から明細を別紙にするほうが安定する
台紙づくりで手が止まったら
プラグインは無料です。設計の考え方もこの記事に書いたとおりです。 それでも、台紙PDFの作成と項目の位置合わせは、慣れていないと半日〜1日かかります。 そこだけをお引き受けしています。
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